虹の袂を探しに

好きなものは好き 趣味の記録

『ENDLESS REPEATERS-エンドレスリピーターズ-』感想

さてエンリピ の話。このブログ、エンリピ最高!teamエメラルド最高!ってことを長々と綴りたい気持ちが高じて開設に至ったようなもの。考察なんて高尚なものではなくただの感想です。当たり前ようにネタバレしています。というより舞台を観ていない方にはなんのこっちゃな不親切設計ですが.....張り切っていってみよう!!

 

 

そもそも『ENDLESS REPEATERS-エンドレスリピーターズ-』とは

強盗集団ZOO。彼らの目的は時価20億円の宝石である。しかし侵入した資産家の邸宅でセキュリティに阻まれ、呆気ない死を迎えたかに見えた4人は、見知らぬ会議室で目覚める。戸惑いつつ会議と強盗劇を繰り返す中現れる謎の5人目。このエンドレスリピートを終わらせるには?といった感じ。
笑いあり、涙あり、歌とダンスありの、青山表参道Xの第2回公演です。
説明下手だな。詳しくは公式へどうぞ。

 

 

3チームトリプルキャスト

今回の舞台の何よりの魅力は、同じ台本を同じ演出家のもと、ルビー、サファイア、エメラルドの3チームが演じたことだと思う。どの役も三者三様で、言葉で書かれた人物像を確かにそこに存在する人として描き出す役者さんて凄いな!!って当たり前のことを改めて実感した。


なかでも私は!エメラルドが!!大好きです!!!
これでもかと詰め込まれた笑いと、テンポの良い掛け合い、チームワークと幼馴染感が最高のチームだった。最初は定本くんがいるチームだからってチケット取ったけどね、公演を重ねるごとに自分でもびっくりするくらい“teamエメラルド”が好きになっていった。千秋楽の挨拶では長田くんの「旗揚げ公演のシロトラでは一行だった台詞が、今回60ページの台本を4人とゲストで演じられた」って話にこみ上げるものがあったよ。頑張ったね......!!ちょっと泣きました.....最近涙腺がゆるゆるなのでね。


ルビー、サファイアの公演は1回ずつしか観られていないんですが、結構印象深い。

ルビーは個々の役作りは(あまり賛同は得られていませんが)割と王道なのではないかと。でも全員揃うと何故か破天荒なんだよな......ネズミ講のくだりはシンプルに怖かった 笑 独特の笑いが多かったイメージ。あと本人たちも言っていたけど、笑いのネタが大人!君達19歳ですよね??いつの時代の19歳よ!好き!大人な落ち着きとやんちゃな笑いのアンバランスさが魅力的なチームだった。

サファイアはなんといってもあの結末。このチームだけエンドレスリピートが終わらない!!もうね、鳥肌立ったよ。怖っっっっ!!って。公演前に出てた色んなインタビューではサファイアは王道!って言ってたのにいちばんの変化球。でもタイトルにはぴったりの結末。実際問題稽古後半でラストの演出を変えたっぽいので最初は本当に王道のチームだったんだろうな。それも観てみたかった。でもサファイアがこういう、塩野くんの言うところの胸糞悪い結末だったからこそ、考察している方もたくさんいたし盛り上がったんだろうなと思う。冒頭の登場シーンから最後にまたラストルームへ向かう4人の後ろ姿で終わるっていう構図、視覚的にも物語的にも綺麗に輪になっているのがお見事でした。

エメラルドは3チーム中いちばん幼馴染という設定がしっくりくる4人だったと思う。19歳の仲良し4人組、本当の幼馴染に見えた。だからこそ、亡くしてしまった友達への懺悔として死を繰り返す姿が際立って切なかったし、閉じこもった深層心理で繋がって、楽しかった他愛のない過去のやり取りを繰り返してるんだと思ったらとてもしんどいものがあった。抜け出せて良かったね。
そしてラストの圧倒的爽やかさ!!!!!また強盗しない??って冗談も軽やかで、熊谷くんの死を受け入れてみんなが未来へ歩き出していることがよく分かる。イノッチが熊谷くんに「お前を生かせるのも、俺たちなのかな」って言ってたけど、熊谷くんも見守ってくれてるよ〜みんなのこと〜〜きっと笑ってるよ〜〜って思えるラストだった。

 

 

予想外のバード

エメラルドのバードはいちばん答案強奪作戦に参加しそうな雰囲気がある。エメラルドはみんなが対等なんですよ。バードの頭の良さを頼りにしてるけど、寄り掛かりはしない。
私は湯本くんのバードが大好きでした。オタクに全振りした役作り素晴らしかった。バードは頭脳明晰な眼鏡の青年って紹介されているから、初めて観たときは衝撃的だったしそうきたか!ってなったけど、今思えばエメラルドのバードは彼しかいないし、彼のブログでも語られていたけど、共演者と共に作り上げた役なんだろうなと思った。
なか卯がタレカツをはじめた......?」とオタチャンステッカーのくだりが好きすぎて困った。話の軌道修正をしながらも、奔放な仲間たちのボケにもちゃっかり乗っかっていくのが堪らなく好きでした。
湯本くん、シロトラの時も話し方のトーンと間が面白い方だなと思っていたけど、今回その魅力が遺憾なく発揮されていてとても良かった。

 

 

熊谷栄作という人

彼の死について、最初の観劇時とてももやもやしたのを覚えている。家族が嫌いで自殺?みんなに覚えていて欲しくて??ん???身勝手か!!!!と。みんな君の死に責任を感じて死に続けてるのに!!!と。彼の言葉を額面通りに受け取って。特に私はドッグに肩入れして観ていたので、熊谷くんの自殺発言が真実だとすると、ちょっと本当に勘弁してくれます??と憤ってしまったのです。
座席的に、中学時代の作戦実行中はバードとイノッチの表情がよく見えることが多かったんですが、一度だけドッグが懐中電灯の光を呆然と見つめる顔を間近で見てしまった公演があって、本当に苦しかった。ちょっと忘れられないです。熊谷くんの死が事故だったとして、いちばんの引き金になったのはライトの合図だし、答案強奪作戦を一度はやめない?と提案していたし、ドッグの後悔は物凄く大きくて、彼に感情移入するのはしんどかった。


自分は自殺したんだと言う熊谷くんは、4人を巻き込んだ理由について、みんなに覚えていて欲しくてと話します。小学校のゲームクラブから一緒で、仲の良かった友達同士なら、今更4人を巻き込まなくても覚えていてくれると思うんですよね。だから最初は熊谷くんて、もともと仲の良かった4人の仲間に入りたかった5人目なのか??と思ったくらい。小学校の卒業アルバムに5人で写ってる写真があるのも、本当にドッグの言う通り作ったものだったとしたら??怖すぎないか???でも中学時代はみんな疎遠だったっぽいし、熊谷くんの計画が4人を再び結び付けたのも事実なんですよね。

小学生の時、仲良くなったきっかけのゲームクラブの名前はZOO。でも中学時代再集結した4人+熊谷くんはその場で答案強奪チームZOOってチーム名を決めている。コードネームもここで決まっているから、夢での巻き戻し繰り返しは中学時代の記憶と繋がっている。結局のところ5人の繋がりはどういったものだったのか。まさにドックが言っていたように、俺たちってなんだっけですよ。


うーん。台本下さい。こんがらがってきた。


そんな掴み所のない熊谷という役だから、演じる方によって自殺に見えたり事故に見えたり、感じ方がいちばん変わる役だった。
家族が嫌いだったのは事実、でも死の真相は自殺ではなく事故であり、自分の死によって未来に進めなくなった4人を見かねて、自分の死は自殺だったと嘘をついてでも友達の背中を押しにやってきた。っていう心優しい熊谷くんを私は推したい。


さて熊谷くんの初登場シーンは鹿。そう彼は鹿でした。正面奥の鹿の剥製にライトが当たって、声だけで4人にミッションを言い渡す。最初はなんで鹿なんだろうと思っていて、熊谷だしベアーだし、熊でも良くないか?と。でも鹿って神聖なもの、幸運の象徴で、夢占いにおいて鹿は吉兆であり開運を表すのだと知り納得。繰り返される会議とミッションは4人の夢なので、鹿の姿で現れた熊谷くんは未来を表す吉兆なんですよ。謎の5人目としての熊谷くんの登場に、終わりに近づいてると言っているドッグの言葉は間違いじゃない。そしてその終わりはやっぱり幸せなものだと思うし、そうであって欲しい。

熊谷くんの夢は“世界中に会社を建てて、友達と一緒に住むこと”でした。

世界中に会社を建てる=世界的ゲーム会社のOTAKARA

友達と一緒に住む=毎晩夢の中で集まっている

この状況から、屋敷の主人て熊谷くんなのかなと感じる部分もありました。熊谷くんは言っています「君たちがこれから手に入れる宝石BMXは、君たちの未来だよ」と。


OTAKARAの社長が所有するBMX=熊谷くんが思い出させてくれたみんなの夢


だとするとやっぱり熊谷くんは、いつまでも立ち止まってるんじゃないぞと背中を押しに来てくれたんじゃないかと思いました。
繰り返される死を止めるための鍵を握っていた彼は、未来を表す幸運の象徴だったのだと思います。


3チームの色があまりにも違い過ぎるし、熊谷くんも7人の役者さんが演じているので、熊谷栄作はこんな人!って一言では言い表せないのは当然で、だからこそ面白いんですよね。

 

 

一人二役

5人目の登場人物である熊谷役は、熊谷くんだけを演じたゲスト枠3人と、各チームで自分の役がありながら他チームへゲスト出演した4人がいる。ドッグ、バードを演じた次の公演で熊谷を演じるっていう素人から見るとだいぶ無茶なスケジュールだった訳ですよ。人によってはマチネにドッグ、ソワレに熊谷とかね。もう信じられない。皆さん凄過ぎる。ここでも役者さんて凄いな....ですよ。
チームによって、ゲストによって如何様にも解釈出来るしもちろん観る人によっても解釈が変わる。ひとつとして同じ組み合わせの公演がないって本当に凄い。挑戦だなと思ったし、だからこそ何度観ても新しい発見と新しい疑問が生まれて楽しかった。そして欲を言えば、エメラルドの4人と円陣組んでる定本ベアーが見たかった....!!ぜっっっったい馴染む。間違いない。定本ドッグと定本ベアー絶対にあり得ない組み合わせだけど本当に見てみたかった。絶対泣いてしまうけど。切なくて。
そういえばサファイア公演での定本ベアー、最後のランダムワードの“GOOD BYE”を4人が入力した時、無表情だったんですよ。微笑むとか、悲しむとか、ましてや怒ってもいなかった。表情がなかった。無。この雰囲気はサファイアのエンドレスリピートから抜け出せない結末にとても合っていた。BMXを手に入れて喜ぶ4人を見上げていた時には微笑んでいるように見えたけど、ここで感じた違和感が最後ラストルームに向かうドックの戸惑いを目にしてゾッとする気持ちに追い打ちをかけてきた。一度しか観られない組み合わせだったのが本当に悔やまれる。どこまで計算して演じていたのかいちばん気になるところでした。

 

 

早くDVDが観たい

発売冬だよ先が長い。DVDには3チームの公演が収録されているので、1枚買ったら必然的に各チームを見比べられちゃう。超お得。買うしかない。全キャストの座談会も収録されるし公演後だからこそ話せる事もいっぱいあると思うんですよね!!楽しみ過ぎる......!!
長々と書いてきたけど、まだまだこのエンドレスリピートからは抜け出せそうにありません。円陣掛け声について、アナグラムについて、しばらくぐるぐると考え続けるんだろうな。公演の思い出を反芻しながら、DVDの発売を楽しみに待ちたいと思います。